[映画]「首」@シネマヴェーラ

1968年東宝森谷司郎監督(→フィルモグラフィーには「八甲田山」「聖職の碑」「日本沈没」「赤頭巾ちゃんに気をつけて」などあった)。正木ひろし弁護士も、「首なし事件」も知らなかったのだけど、親に聞いたら「ああ、正木ひろし」という反応だった。簡便に検索したところ民事専門の弁護士としてスタートして、次第に人権派として戦中・戦後を通じて活躍、とのこと。自ら出版していた「近きより」という冊子が気になる。戦中も出版し続けたというのが凄い。
映画冒頭、茨城の寒村の墓場で吹雪くなかたたずむ小林桂樹の姿と顔のアップから、尋問を受ける炭坑夫の髪の毛を警官が掴んでねじりあげる、その炭坑夫の顔のアップにつづいて「首」とタイトルが出るところ。話は戦時中にこんなことが、と驚くばかりなのだけど、社会派が時として恐怖映画に近づくというのは本当なのだなあ。最後は法廷で首のマネキンにナイフを振り下ろす!振り下ろす!小林桂樹
やはり一番印象深いのは、「ここに首だけ持ってくればいい」と軽やかに言う東大の先生。持ってくれば、「ここに生首がひとつあるけど、見てやってくれ」とこれも軽やか。見てやってくれと言われて解剖をした古畑教授という人は、阿倍定事件や帝銀事件下山事件の法医解剖をした人だそうで、でもその鑑定には疑いが多くて、えん罪になったものもあるそうで、これもまた興味を引かれる。
首を持ち帰る列車で荷物検査をする警官が江角英明。喰えない感じの警察医の大滝秀次が関根勤に恐いほど似ていた(むしろ反対か)。
映画前にブックファーストで「群像」の今月号とクウネル別冊の「料理上手の台所」買う。その後パルコブックセンターで谷崎の「夢の浮き橋」見つけて買う。